東アジア新秩序、集団的自衛権の閣議決定を強行した安倍政権の日印豪同盟構想


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香港の中国政府に抗する民主化運動の盛りあがりの裏で、日本の安倍政権が集団的自衛権の行使容認を閣議決定したことが国際的にも話題を呼んでいます。その後、[p2p type=”post_tag” value=”china”]中国[/p2p]の習近平国家主席と[p2p type=”post_tag” value=”korea”]韓国[/p2p]の朴槿恵大統領は、ソウルでの首脳会談で対日対朝の共闘姿勢を国内外にアピールしました。

安倍政権の解釈改憲というやり方は、立憲主義、民主主義に反する卑劣なものです。しかし、現政権の独裁的な振舞いを素朴に批判するだけでなく、集団的自衛権の行使容認を強行的にもとめた国際的な背景を理解しないかぎり、今後のいかなる政治議論も不毛なものとならざるをえないでしょう。

Demo_Japan

安倍内閣が1日、集団的自衛権の行使容認を閣議決定したことに対し、スイスの主要メディアは「日本は平和主義に別れを告げた」「安倍氏は法的に姑息な手を使っている」「中国との緊張関係を再度高めるような閣議決定だ」などと厳しく批判している。

スイス国営放送は昼のニュース番組で、数千人が首相官邸前で抗議活動を行った様子を放送。新宿で閣議決定に抗議する男性が焼身自殺を図ったことや、日本国民の過半数は反対しているという世論調査を引きあいに、安倍内閣の早急な閣議決定は国民の同意を得ていないと断じた。

国民の反対をかわすために、安倍氏は正式な手続きを経て憲法改正することなしに「法的に姑息な手段に出た」と論じたのは、保守派の一流紙NZZ。今回閣議決定ができたのは、まず国会で与党が過半数を占めていたこと、連立を組む公明党が武力行使の新3要件が数カ所新しく書き換えられたことで「大人しくなってしまった」こと、自民党内にほとんど反対派がいなかったことなどを理由に挙げる。

また、安倍政権下では内閣人事局が過去にないほど多くの官僚ポストを指定したために、官僚が政権批判しにくい環境が作られたとNZZは指摘。さらに、安倍氏に近い経営委員会の指揮の下で、公共放送のNHKは安倍政権に「へつらっている」と同紙はみる。実際、新宿の焼身自殺未遂のニュースはNHKでは流れていない。

スイス通信は、今回の閣議決定を「非常に議論の余地があるもの」とし、同じく安倍内閣と国民の意思とのずれを強調。「平和憲法は国民の大半が支持しており、1967年には武器輸出三原則もできた。しかし、武器輸出の禁止でさえ、安倍内閣は3カ月前に『平和に貢献』し、『積極的平和主義』にかなうのであれば認めることにした」と指摘している。

左派寄りの日刊紙ターゲス・アンツァイガーは閣議決定の理由を「(米国との)同盟関係を強固にし、東南アジアにおいて中国との『均衡』を取ろうとしているため」とみる。そのために、安倍氏はシンガポールで開かれたアジア安全保障会議で「積極的平和主義」を唱え、アジア地域における自衛隊の役割を強調し、民間企業が武器輸出ができるようにする意向を表している、と説明する。

今回の閣議決定で、過去に日本の侵略にあった周辺諸国との関係性は悪くなると指摘するのは、仏紙ル・モンド。フランス語圏の日刊紙ル・タンが掲載したル・モンドの「日本の軍隊は自衛のための軍隊ではなくなる」という題の記事では、この閣議決定は同盟国の米国では歓迎されるが、中国との緊張関係を再度高めると主張している。

ターゲス・アンツァイガー紙は、「安倍氏は日本の麻痺した経済を活発化させることが優先事項だと述べているが、それができるかどうかは貿易相手国の中国や韓国との関係によるところが大きい。憲法9条の解釈を変更すれば、両国を侮辱することになる」と、経済への影響を危惧する。

via スイス主要メディア、日本の集団的自衛権の閣議決定を批判 – SWI swissinfo.ch.

反原発、反人種差別、反秘密保護法、反集団的自衛権と、[p2p type=”post_tag” value=”fukushima”]東日本大震災[/p2p]以降の日本は「アンチ」の街頭運動が異例の盛りあがりをみせています。しかし、以前書いたように(「左翼と反ヘイト、「未来の衝撃」が常態となった仮想化社会の人間と全体主義」)、新しい世代の運動が主義主張を問わず急進化している世界の動きをふまえると、日本の「アンチ」運動にかえってわたしは危機感を抱かざるをえません。実際、反原発運動はどこまで議論を進め、具体的に何を変えられたのでしょうか?(「震災の避けがたい忘却に遺す幾つかの思考」) テストステロンの分泌量の上昇がともなう懲罰行動は、快楽物質のドーパミンとセットなため単純にいって気持ちが良いのです。

3日、日本政府が北朝鮮に科してきた独自制裁を一部解除することを発表しました。それは、北朝鮮が拉致問題解決に実質的な歩み寄りをみせはじめたことを受けての方針転換なのですが、その背景には、今年1月以降、長年の盟主であった中国が北朝鮮の崩壊に向けて原油供給をストップさせた動きがあります。(参考:) つまり、中国は今後の付き合う相手を[p2p type=”post_tag” value=”america”]アメリカ[/p2p]と同盟関係にある韓国に鞍替えし、北朝鮮は行き場を失ったわけですが、以前書いたように(「プーチン政権の手を完全にはなれたウクライナの暴動は何を意味するか?」)、中国は[p2p type=”post_tag” value=”russia”]ロシア[/p2p]との関係強化に努めてもいます。アメリカの覇権が幕を閉じたGゼロ時代において、露中韓は亀裂を含みながらも重要な基軸になるでしょう。

集団的自衛権の行使容認を閣議決定した前文には以下のように書いてあります。(参考:

 日本国憲法の施行から67年となる今日までの間に、我が国を取り巻く安全保障環境は根本的に変容するとともに、更に変化し続け、我が国は複雑かつ重大な国家安全保障上の課題に直面している。国際連合憲章が理想として掲げたいわゆる正規の「国連軍」は実現のめどが立っていないことに加え、冷戦終結後の四半世紀だけをとっても、グローバルなパワーバランスの変化、技術革新の急速な進展、大量破壊兵器や弾道ミサイルの開発及び拡散、国際テロなどの脅威により、アジア太平洋地域において問題や緊張が生み出されるとともに、脅威が世界のどの地域において発生しても、我が国の安全保障に直接的な影響を及ぼし得る状況になっている。さらに、近年では、海洋、宇宙空間、サイバー空間に対する自由なアクセス及びその活用を妨げるリスクが拡散し深刻化している。もはや、どの国も一国のみで平和を守ることはできず、国際社会もまた、我が国がその国力にふさわしい形で一層積極的な役割を果たすことを期待している。

わたしは、集団的自衛権の行使を容認した安倍政権はかなりの程度でいまの国際情勢の変貌と不確実性を認識できているとおもいます。ソーシャルメディアで流れてくる世間の考えや意見をはじめ、ハフィントンポストなどが掲載する文章は米国との関係ばかりを強調して批判していますが、民主国家としての手続きの問題を別にすれば、安倍政権を衝き動かしている時代変化の背景を理解したうえでなくては集団的自衛権の是非を国民が論じあうことは根本的にできません。議論の前提が違いすぎるのです。勿論、国民の議論と合意形成のための教養づくりは、マスメディアと知識人が担う最低限度の仕事です。

海外各国、各紙の反応は、アメリカ政府と中韓両政府はもちろん賛意と警戒に分かれ、欧米メディアは歓迎と批判がないまぜになったものがめだちます。(参考:) 興味深いのは東アジア、東南アジア諸国のことばの濁しかたで、細かくみていきますと、シンガポールの外相は「原則としてはみな歓迎」と講演で述べ(参考:)、ベトナム外務省報道官は日本の積極的な平和維持と秩序安定の努力に「期待する」と会見で表明し(参考:)、[p2p type=”post_tag” value=”india”]インド[/p2p]外務省報道官は「即座に反応するつもりはない」と明確な評価を避け(参考:)、フィリピンのアキノ大統領は先月末に強い支持を表明しています。(参考:) 東南アジア諸国の多くは中国の強硬な拡張主義と衝突しており、同時に貿易関係にもあり、国によっては経済援助も受けているのであいまいな態度でバランスを保たざるをえませんが、ASEAN7ヶ国の世論調査で日本は「最も信頼できる国」としていちばんの33%を得てもいるようです。(参考:10

6月26日から、アメリカ海軍主催の22カ国を越える多国籍軍の環太平洋合同演習、通称リムパックが開始しており、今年度は中国海軍がはじめて参加することで話題を呼んでいます。(参考:11) 以前書いたとおり(「現代技術と学習意欲、中国軍兵士の繊弱さと米軍の脳力強化プロジェクト」)、中国軍はソフト面での実力が疑問視されているので、リムパック参加のアメリカ側の思惑としては中国海軍の見極めと理解の共有が最低限はあるはずでしょう。一方、日本の安倍首相は6日からニュージーランド、オーストラリア、パプアニューギニアの3ヶ国を訪問し、天然ガスの開発支援を表明、そして、豪州とは経済連携協定にくわえてステルス潜水艦技術の共同開発協定に調印し、アメリカに次ぐ準同盟国として今後の連携強化を確認することが予定されています。(参考:12

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インドにとっても日本にとっても、重要な戦略的意味を持つ選択だろう。先月末に就任したインドの[p2p type=”post_tag” value=”narendra-modi”]ナレンドラ・モディ[/p2p]首相が7月に日本を訪問して安倍晋三首相との首脳会談を行う方向で調整していることが、先週明らかになった。

日本とインドが急接近してきた背景には、経済的に急成長を遂げ、軍事的にもアジア太平洋地域で強硬な態度を取り始めた中国への警戒感があった。だがインドの前政権は、日本などとの強力が中国にとって「封じ込め」と受け止められはしないかと、非常に気を使っていた。

これに対して先月の選挙で大勝したモディ率いるインド人民党(BJP)は、中国の警戒心をあおるリスクよりも、日本との距離を縮めて得られる恩恵のほうが大きいとみている。

安倍とモディにも個人レベルでの相違はあるだろうが、ナショナリズムという共通の理念に基づき、二人は歴代政権が築いてきた日印関係をさらに強力なものに成長させるに違いない。

中国の脅威や安全保障問題を別にしても、モディは早期に日本との関係を強化するべきだ。日本とインドは包括的経済連携協定(CEPA)という自由貿易協定を結んでいるほか、日本はデリー・ムンバイ間産業大動脈構想といったインドの大型インフラプロジェクトにも投資している。

選挙戦で経済成長と良い統治を優先課題に挙げてきたモディを優先課題に挙げてきたモディにしてみれば、日本との連携にはいいことしかないだろう。それはグジャラーと州首相の経験からも知っているはずだ。

モディは07年に日本を訪問したことがあり、同州への投資呼び込みに成功している。その金額は向こう数年間で計20億ドルに達する見通しだ。モディは今回の選挙戦で、他の州も外国から直接投資を誘致することを奨励すると訴えていた。

インンド首相としての訪日で、日本の財界関係者にインド全土への直接投資を促せば、各州にとって援護射撃になるだろうし、投資する日本企業にとっても安心なはずだ。

安倍は第1次政権時代に日米豪印戦略対話の設置も提唱。この枠組みでインドが要の役割を果たすと語った。その後の安倍の辞任などでこの計画は立ち消えになってしまったが、安倍は先月末シンガポールで開かれたアジア安全保障会議で、基本的に同じことを訴えた。

「インドでは、再び公明な選挙によりナレンドラ・モディ氏が首相に就いた。モディ首相を東京に迎えるときは、日本とインドの協力、ならびに第三国を加えた協力が、太平洋とインド洋という『2つの海の交わり』を平和に、より豊かにしていくことを確認できるに違いない」

via モディが日本と手を結ぶべき理由|日本版ニューズウィーク

以前触れたように(「EU懐疑派の躍進、英国独立党ナイジェル・ファラージェとポデモス党パブロ・イグレシアス」)、シンガポールでひらかれたアジア安全保障会議は今後のあたらしい基点となる大きな出来事でした。すなわち、アジア・ピボット戦略で中東離れを進めるアメリカを後ろ盾にし、安倍政権はインドとオーストラリアとの広域にわたる同盟関係の多角化を模索しているのです。それはもちろん、露中韓の新しい軸の拡張主義とせめぎあうものであり、結果として東南アジア諸国は両基軸のあいだで今以上の軍事的経済的利益のために水面下でバランスをとるでしょう。フィリピンやベトナムなどはより日印豪側に近づくのかもしれません。その意味では、集団的自衛権はいまのところは重要な「外交カード」なのです。(参考:13

秘密保護法をはじめ、安倍政権が強引なかたちで改造を押しすすめる背景にはこうした国際情勢の乱気流があります。だからといって、原理的に守らなくてはいけないものを無視するのは当然良くなく、長期的には多くのひとが懸念するような事態を招きかねません。しかし、現政権が観ているものとめざしているものとを無視して「アンチ」をぶつけるだけでは何も変えられないのです。昨年末のアメリカが無意味な政党対立によってデフォルトの危機に直面し、政府機関が閉鎖され、オバマ大統領がAPEC首脳会議を欠席する事態に陥ったように、根本的には現代における人間の根腐れと近代的な政治制度の乖離に問題があります。

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Chika Hitujiya

I'm Futurist, producing "Whole Earth Museum" and co-producing art project Run! Miumushi-Kun & Garapadish. This common purpose is really simple. Making you enjoy and preserving the enough requisite knowledge & things for human to survive the crisis of period.

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