3Dプリンティング技術の未来ともの作りのパーソナル化革命


3Dprint_skull

慢性骨疾患を患っていたオランダ在住の22歳の女性が、頭蓋骨の上部を切り取り、3Dプリントされた頭蓋を移植する手術を受けた。

移植された頭蓋は、耐久性プラスティックを使用して、この患者用に作製されたものだ。3Dプリントという手法が開発される前には、病状から手術が不可避であっても、有効な手だてはなかったという。

手術は、ユトレヒト大学医療センターの神経外科医チームによって実施され、23時間を要した。これまで部分的な3Dプリントで頭蓋骨を修復する試みはあったが、これほど大規模なインプラントは初めてだという。

手術から3カ月が経ったが、患者には拒絶反応は見られない。患者は視力を完全に取り戻し、症状もなくなり、職場復帰も果たしたという。

via 「3Dプリント頭蓋骨」の移植に成功:オランダ « WIRED.jp.

これまでも他の記事に何度か登場している[p2p type=”post_tag” value=”wired”]Wired[/p2p]誌元編集長の[p2p type=”post_tag” value=”chris-anderson”]クリス・アンダーソン[/p2p]が、自身の子育てと趣味から昴じたオンラインコミュニティ「DIYドローンズ」の立ちあげと[p2p type=”post_tag” value=”3d-robotics”]3D Robotics[/p2p]社の起業経験をもとにした『MAKERS』を出版してからというもの、所謂メイカーズムーブメントに火が付くかたちで日本でも[p2p type=”post_tag” value=”3d-printing”]3Dプリンタ[/p2p]がとりあげられるようになりました。しかし、政府主導、企業主導と云ったさまざまなかたちで全米の学校に3Dプリンタを備えたデジタル工作室を設置させる動きのあるアメリカとは違い、日本ではその革新性がほとんど理解されているとはいえない現状があります。

以前別の記事でふれたとおり(「次世代の宇宙服BioSuitとポスト情報化社会をかたち作る科学技術」)、3Dプリンティング技術は既にもの作りの試行錯誤のプロセスをはやめる役割を担っています。しかし、社会的、経済的、歴史的にもっとも重要と云える根本的な変化はむしろ、3Dプリンタをはじめとするデジタルファブリケーションによるもの作りのパーソナル化の方にあります。その意味で、[p2p type=”post_tag” value=”personal-fabrication”]パーソナルファブリケーション[/p2p]の実践活動を長くおこなってきた[p2p type=”post_tag” value=”neil-gershenfeld”]ニール・ガーシェンフェルド[/p2p]の「私は3Dプリンタはあまり好きではない」といった発言の意図を汲み、彼の思想の根元にたち返っていく必要が知的にはあります。

既に何度か述べてきたとおり(「スティーブ・ジョブズと創造性の狂気説」)、1960年代以降の反戦運動で醸成され隆盛をきわめたカウンターカルチャー運動には、大企業や政府機関に専有されていたコンピュータ([p2p type=”post_tag” value=”mainframe”]メインフレーム[/p2p])のパーソナル化と云う重要な側面がありました。1990年代以降の情報化社会の根本にはそうした反体制的な野蛮さがあるとも云えるのですが、2006年の講演で(日本字幕付きはこちら)通信・演算の世界のデジタル革命は既に成功におわったとし、その先の未来、すなわち、デジタル・リアリティの繊細さで物質界を実際にかたち作り動かしていく第2次デジタル革命の一端を紹介しています。

ご覧頂ければわかりますが、ニール・ガーシェンフェルドのもの作りのパーソナル化革命は、Web 2.0の登場と失望以後の多くの日本人のように情報化以前の[p2p type=”post_tag” value=”reality”]リアリティ[/p2p]に退行していくものとは原理がまったく違います。それどころか、「演算のアウトプットが物質界をプログラミングする」と最後に述べているとおり、[p2p type=”post_tag” value=”nano”]ナノスケール[/p2p]の物質操作をプログラミングでおこなっていくと云う意味ではまさしく超情報化と呼べるもので、次世代の革命がなぜにナノ・[p2p type=”post_tag” value=”genome”]ゲノム[/p2p]・[p2p type=”post_tag” value=”robot”]ロボット[/p2p]にあるのかを原理的にあかしてもいます。以前別の記事でいわゆる「マイルドヤンキー」を本質的に特徴付けるものとして「プログラミングの重要性を理解しているか否か」をあげたのはまさしくこの意味であり(「UNIQLOの大転換と日本の有名大卒マイルドヤンキー群」)、反対に、最近の[p2p type=”post_tag” value=”america”]アメリカ[/p2p]では子どもたちから企業経営者や上級幹部までもがプログラミング講座に押しかけていることの意味を知的に解しておく必要があります。

プログラミング能力、もしくはサイトやアプリを構築するためのプログラム言語を使う能力がより求められるようになり、テクニカルスキルはもはやIT(情報技術)専門家だけのものではなくなっている。子供向けのプログラミング言語「Scratch(スクラッチ)」は7歳からオンラインで学習できるほか、20代の若者はテクノロジー分野で自らを売り込めるようになるためプログラミングの集中キャンプに大挙して申し込んでいる。金融サービスのアメリカン・エキスプレスのような企業は上級幹部をデータやコンピューターによる設計などの学習プログラムに送り込んでいる。彼らにウェブサイトを作らせるためではない。そうした業務を担当する部下をうまく管理するためだ。 

初心者を対象に12週間の学習プログラムを1万2000ドル(約124万円)で開設しているニューヨークのフラットアイアン・スクールの共同創業者アダム・エンバー氏は「プログラミングとは、読んだり書いたりといった基本的な読み書き能力と同じだと思う」と言う。さらに、「全員がシェークスピアになる必要はないのと同じで、全員が素晴らしい開発者になる必要はない」としたうえで、「だが、私たちはあらゆる仕事がテクノロジーと関連する世界に突入しつつある」と述べた。

プログラム言語はそれぞれ需要も難易度も違う上、開発者の端くれになるのにさえ多くの時間を要する。だが、ITチームと一緒に仕事をする際に、「コード(プログラム)」とは何かを理解し、何が可能で何が不可能なのかを知ることは、自分でアプリを開発する能力よりもっと重要だ。

via プログラミングを学ぶ人たち―児童から企業幹部まで – WSJ.com

ガーシェンフェルドが最近指摘していたとおり、パーソナルファブリケーションの原理的な核が3Dプリンティングにあるわけではありません。しかし、生物進化の歴史のなかではときとしてある器官が別の要を兼ねることが起きるように、3Dプリンティングは生体組織工学と結びつくことにより、心臓をプリントしたりナノスケールの生体組織に似た機能の新物質を生みだしたりと、再生医学や生体工学の分野で活かされています。それは、以前から述べているポスト・ヒューマン誕生の[p2p type=”post_tag” value=”implant”]インプラント革命[/p2p]を推進させるものであり(「現代技術と学習意欲、中国軍兵士の繊弱さと米軍の脳力強化プロジェクト)、原理的にはまさしくナノの微細な地下世界で起こっている未来の革命なのです。

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Chika Hitujiya

I'm Futurist, producing "Whole Earth Museum" and co-producing art project Run! Miumushi-Kun & Garapadish. This common purpose is really simple. Making you enjoy and preserving the enough requisite knowledge & things for human to survive the crisis of period.

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