次世代の宇宙服BioSuitとポスト情報化社会をかたち作る科学技術


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現在の宇宙飛行士が装着する宇宙服は、かさばって作業がしづらいうえ、そのデザインも、大人用おむつのように魅力がない。

こうした状況を変えようとするのが、マサチューセッツ工科大学のデイヴァ・ニューマン教授が開発を進める「BioSuit」だ。スーパーヒーローのスーツにちょっと似ているが、体にびったりとフィットさせるための「数学」の成果だ。

これまで行われてきた船外活動の数は、全体で500回強だが、火星有人探査が行われるようになれば、ひとつのミッションで1,000回以上の船外活動が必要になる。また、将来の宇宙飛行士は、エヴェレスト山の3倍の高さがある火星のオリンポス山を登ったりするだろう。そのためには、着脱が簡単で、動きも自由であり、長いミッションでも快適なスーツが必要なのだ。

生命を維持する圧力のためには、膨大な長さのうねが必要だ。うねはスーツの重要な歪みポイントを通りつつ、140,000針以上の縫い目で留められている。金の繊維も織り込まれており、管制センターがクルーの状態を把握するデータ収集のためのバイオメトリクス・センサーと組み合わせる。

BioSuitは、既存のさまざまなアイデアをベースにしつつ、形状記憶合金や、受動性弾性力をもつ素材、エレクトロスピニング法によるナノ繊維など、現代的な諸技術が活用されている。

スーツの機械的な側面に関する作業は大部分が完了しているが、宇宙空間の過酷な真空の中でテストするには、生命維持システムの統合をさらに進める必要があり、そのためには多額の資金調達が必要だ。過去にはNASAがこの研究に資金を提供したが、Virgin Galactic社やジェフ・ベゾス氏のBlue Origin社も、自社の客室係のためにクールなスーツが欲しいのではないだろうか?

なお、BioSuit開発に伴う革新的な技術の一部は、脳性小児麻痺の子どもや、深刻なバランス障害のある高齢者向けに応用されている。

via MITが開発:体にフィットする次世代宇宙服「BioSuit」 « WIRED.jp.

この記事を読んでいちばん驚いたことは、[p2p type=”post_tag” value=”amazon”]Amazon[/p2p]創業者の[p2p type=”post_tag” value=”jeff-bezos”]ジェフ・ベゾス[/p2p]もはやくから宇宙航空事業に手を付けていたことですね。勿論、以前[p2p type=”post_tag” value=”tesla”]Tesla Motors[/p2p]に触れた記事で少し書きましたが(「アップルのテスラ・モーターズ買収の可能性とイーロン・マスクの繊弱さの抱えこみ」)、宇宙事業に賭けている米国の起業家、経営者はけっしてめずらしいものではなく、ベゾスの特異な経歴を考えればなにも不思議はないのですが、まあ、単純に知りませんでした。ちなみに、今月末は[p2p type=”post_tag” value=”elon-musk”]イーロン・マスク[/p2p]がCEOを務める[p2p type=”post_tag” value=”space-x”]Space X[/p2p]の世界初のReuceable Boosterをもちいたロケット発射がおこなわれる予定です。

スペースX社は、3月16日に予定しているドラゴン補給船運用3号機による国際宇宙ステーションへの物資補給の際、ファルコン9ロケット第1段でのロケット再使用実証試験を行う。イーロン・マスクCEOが着陸脚と呼ばれる部品を取り付けた状態の写真を公開した。

現状では、まだ実用化された再使用ロケットはないものの、スペースX社は2011年に同社の主力ロケット「ファルコン9」の完全再使用ロケット構想を発表している。4本の脚を備えた「グラスホッパー」と呼ばれる試験用ロケットで垂直離着陸の試験を行ってきた。再使用型ファルコン9構想発表時、イーロン・マスクCEOは完全再使用の実現により、ロケット打ち上げ価格は現状の100分の1になると述べている。

via ロケット打ち上げ価格を100分の1に…スペースX、完全再使用ロケットを3月実証へ – Responce.

3月13日、スペースX社は今月16日に予定していた国際宇宙ステーション(ISS)ドラゴン補給船運用3号機の打ち上げを延期すると発表した。新たな打ち上げ予定日は3月30日となる。

打ち上げ予定を2週間延期して3月30日、バックアップ予定日を4月2日と設定した理由について、スペースX社は「ミッションの実現を最も高い水準にするため」と説明している。

via スペースX ドラゴン補給船の打ち上げを3月末に延期 – Responce.

前世紀からの現代化、情報化の大波によってあらゆる学問領域、芸術構造で、射程の深化と分野の混淆化、歴史の構造的反復というこの時代特有の現象が苛烈な勢いで起こりました。たとえば、以前書いた[p2p type=”post_tag” value=”anthropoid”]類人猿[/p2p]の記事とそれ以降に続けていく予定のものは(「あなたの出逢いを定めている類人猿のコミュニケーション類型」)、[p2p type=”post_tag” value=”frans-de-waal”]フランス・ドゥ・ヴァール[/p2p]と云う優れた霊長類研究者の著書でその生態を勉強しながら書いているのですが、彼研究上の歩みはまさしくこうした現代の情報的深化を体現するものでたいへんに興味を惹かれます。

詳しくは近くあらためて書きますが、オランダ出身のフランス・ドゥ・ヴァールは、[p2p type=”post_tag” value=”chimpanzee”]チンパンジー[/p2p]研究の聖地のひとつであるアーネム動物園での長期に渉る観察から出発し、その裏にあり、そうした行為を支えている慰めあいや仲直りといった[p2p type=”post_tag” value=”primates”]霊長類[/p2p]のこまやかなふるまいに眼を向け、さらに、情動感染や視点取得といった哺乳類とそのほかの幾多の動物たちの同調能力に注目し、現在は、哺乳類史1億年以上におよぶ共感の古層に根ざしたモラルの再構築を自身の仕事と任じています。もちろんそれは、研究対象を単純にひろげたのではなく、彼自身のことばを借りれば、人間と類人猿、類人猿とサルのあいだにどんな明確な線をひいても「知識の海から波が押し寄せたら、ひとかたまりもなく崩れてしまうから」にほかなりません。

私見では、前世紀の学問における情報化がもっともはやかった分野は量子力学、とりわけ、ドイツの理論物理学者[p2p type=”post_tag” value=”werner-heisenberg”]ヴェルナー・ハイゼンベルグ[/p2p]による不確定性原理の導入であり、彼はこの進化がもたらす[p2p type=”post_tag” value=”reality”]リアリティ[/p2p]の変貌と云う問題にいまから半世紀以上もまえに気づいていました。そして、1930年代には既にほとんど完成していたと云うこの理論は、当時の水準ではだれもが考えもつかなかったような現在のテクノロジーの進展により、理論の検証、基本原理以上の解明と云うかたちで再活性化しています。同様のことは、[p2p type=”post_tag” value=”genome”]遺伝子工学技術[/p2p]の発展による進化生物学、発生生物学の融合と展開についても指摘できます。

つまり、学問の世界においては情報化された個の知性や科学理論が今日の技術と融合し、新たな展開を既にみせはじめているのですが、上記引用の次世代宇宙服はそうした現代科学と現代技術が融合したポスト情報化社会のあたらしい道具の典型例にほかなりません。そして、18、9世紀以降の産業革命は近代科学と技術の融合を成長の核としてきたのですが、2020年代以後というのが欧米の優れた識者たちのあいだでひとつのメルクマールとして近年扱われはじめていることはけっして無視できないことなのです。

3Dprinting

「3Dプリンティングのいいところは、デザインプロセスの初期のコンセプト作りに使えることです。むかしのように、完成されたデザインを出力するためだけではなくて」とニューマンは述べる。 

via MITが開発:体にフィットする次世代宇宙服「BioSuit」 « WIRED.jp.

ちなみに、 [p2p type=”post_tag” value=”3d-printing”]3Dプリンティング[/p2p]技術がいったい何を既に変えはじめており、今後何を変えうるかと云う議論はたいへんにおもしろいものです。この問いは、現代に対する教養や知性、実務能力、そしてもちろん、未来に向かう想像力の試金石になりえるのですが、さしあたり、開発初期の試行錯誤のサイクルをはやめることにより繊細さを極めやすく、かつ、開発速度をあげられることが指摘できます。以前から書いているとおり(「イノベーション・サイクルの超加速化と科学的思考の歴史」)、この意味においてもわたしたちの次の時代や社会は新陳代謝の速度をどんどん高めていくのです。

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Chika Hitujiya

I'm Futurist, producing "Whole Earth Museum" and co-producing art project Run! Miumushi-Kun & Garapadish. This common purpose is really simple. Making you enjoy and preserving the enough requisite knowledge & things for human to survive the crisis of period.

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