イノベーション・サイクルの超加速化と科学的思考の歴史

Downesによれば、「イノベーションのジレンマは今やイノベーションの悪夢にとって代わられた」という。現在の新しいテクノロジー・プロダクトは最初から完成度が高く、古いプロダクトより機能が圧倒的に優れている上に価格もはるかに安い。そのためレガシー・プロダクトは文字通り一夜にして葬り去られてしまう。スタートアップはあっという間に成熟企業になり、起業家は急速な成功を目指すだけでは足りず、次のイノベーションの波に飲み込まれないうちに買収先を探すなどの出口戦略を考えねばならない(Snapchatは戦略を誤ったかもしれない)というのがDonwsの主張だ。

via Keen On:今やイノベーションの破壊力は悪夢のレベル―話題の新刊Big Bang Disruptionの著者インタビュー | TechCrunch Japan.

『マネジメント』で広く知られる[p2p type=”post_tag” value=”peter-drucker”]ピーター・ドラッカー[/p2p]を始め、『学習する組織』の[p2p type=”post_tag” value=”peter-senge”]ピーター・センゲ[/p2p]や『なぜ人と組織は変われないのか』の[p2p type=”post_tag” value=”robert-kegan”]ロバート・キーガン[/p2p]など、現代の組織論や経営論は科学的思考の知がひじょうによく集まっている現代の興味深い学問分野のひとつです。ある種の流行りことばになってしまった感のあるイノベーションも、本文で紹介されているとおり、1997年刊行の『イノベーションのジレンマ』で一躍有名となった[p2p type=”post_tag” value=”clayton-christensen”]クレイトン・クリステンセン[/p2p]の破壊的イノベーション理論からきているのですが、昨日[p2p type=”post_tag” value=”facebook”]Facebook[/p2p]が[p2p type=”post_tag” value=”whatsapp”]WhatsApp[/p2p]を190億ドルで買収し世界をおどろかせたことからもわかるとおり、刊行から15年以上経過したいまの時代においてはイノベーションの加速度的なサイクルの速さはもはや「悪夢」の様相を呈しはじめています。

企業者によるイノベーションじたいはもともと、20世紀前半の経済学者[p2p type=”post_tag” value=”joseph-schumpeter”]ヨーゼフ・シュンペーター[/p2p]によって唱えられました。かれはこの概念をもちいて経済変動を解し、創造的破壊ということばで近代社会における新陳代謝を説明したそうですが、18世紀半ばから19世紀にかけておこった産業革命はあらゆる意味で技術が科学と融合する、あるいは、技術が科学的知性によってあらたに発明されることをなくしては起こりえませんでした。そして、科学的知性はというと、[p2p type=”post_tag” value=”isaac-newton”]ニュートン[/p2p](古典力学の創始)、[p2p type=”post_tag” value=”galileo-galilei”]ガリレオ[/p2p](定量的記述の採用)、[p2p type=”post_tag” value=”johannes-kepler”]ケプラー[/p2p](数学的裏付けの開始)などをはさみ、最低でもその起源は(と、但し書きがつくということは、実際にはまだその先がある可能性を考えているのですが)、イタリアルネサンス期の[p2p type=”post_tag” value=”leonardo-da-vinci”]レオナルド・ダ・ヴィンチ[/p2p](実証的手法の開始)と[p2p type=”post_tag” value=”niccolo-machiavelli”]ニッコロ・マキャヴェッリ[/p2p](政治の脱宗教、脱道徳化)にまでは少なくとも遡ることができます。

つまり、科学的思考の歴史をかんたんにふりかえってみると、散発的に個人のうちにあったものが方法論としてうちたてられ、学問分野として確立し、その知の蓄積を専門外のひとが利用できるようになり、企業者によって経済活動に組みこまれて近代以降の社会の心臓部になっていった軌跡がみえてきます。とうぜんその過程、つまり、イノベーションのサイクルがどんどん速くなっていき、今日の「悪夢」にまでいたっていることもよくわかりますね。この歴史的趨勢が今後もおなじように加速度的にすすんでいくのでしょうか?

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Chika Hitujiya

I'm Futurist, producing "Whole Earth Museum" and co-producing art project Run! Miumushi-Kun & Garapadish. This common purpose is really simple. Making you enjoy and preserving the enough requisite knowledge & things for human to survive the crisis of period.

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